2025年2月23日(日本時間)に第75回ベルリン国際映画祭で、水尻自子(よりこ)監督の短編アニメーション「普通の生活」が、銀熊賞(審査員賞)を受賞しました。
日本人監督作品の短編部門での受賞は、2012年の「グレートラビット」(和田淳監督)の銀熊賞以来の快挙となります。
国際的に権威のあるベルリン銀熊賞を受賞した「普通の生活」ってどんな映画なんだろう?

と気になった方がいるかもしれません。
そんな映画なら見てみたいと、思った人もいるでしょう。
今回はベルリン銀熊賞を受賞した「普通の生活」について調べましたので、紹介します。
・水尻自子「普通の生活」のあらすじ
・「普通の生活」の配信情報・上映情報
水尻自子(よりこ)「普通の生活」がベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞
2025年2月23日(日本時間)に第75回ベルリン国際映画祭で、水尻自子(よりこ)監督の短編アニメーション「普通の生活」が、銀熊賞(審査員賞)を受賞しました。

授賞式では「単純なものと微細な部分を巧みに組み合わせて、詩的なパステル調の世界へと導いてくれた。普通の生活を催眠術のような芸術作品にしたことに魅了された」と評価されました。
水尻自子監督はベルリンの授賞式に出席しませんでしたが、次のようなビデオメッセージを送りました。
明確な物語やセリフもなく、言葉で言い表しにくい感覚的な作品で賞をいただけたことはほんとうに光栄です。〝普通〟は人によってさまざまですが、どの〝普通〟も感触を感じることができる身体を持って生きていることは共通していると思います。その中での感触的な心地よさや不思議さを表現しているアニメーション作品です。
ひとシネマ2025.2.23より引用
なお、児童映画を集めた「ジェネレーション部門」では、横浜聡子監督の「海辺へ行く道」が、次点にあたる特別表彰を受けました。
今回のベルリン国際映画祭では日本人女性の監督が2人評価されたのですね。
ちなみに2人とも青森県出身ということで、青森放送でテレビニュースで大きく報道されていました。
水尻自子監督の前作の短編アニメーション「不安な体」はカンヌ国際映画祭監督週間でプレミア上映され、アルスエレクトロニカ コンピュータアニメーション部門優秀賞など数々の国際賞を受賞しました。
なお、世界三大映画祭は次の3つです。
・カンヌ国際映画祭(フランス)5月
・ベルリン国際映画祭(ドイツ)2月
・ヴェネツィア国際映画祭(イタリア) 8月-9月
モスクワ国際映画祭を含めて、世界四大映画祭と呼ぶこともあります。
水尻自子監督のアニメーションは世界三大映画祭のカンヌ国際映画祭で上映され、ベルリン国際映画祭で受賞したのですから、ヴェネツィア国際映画祭でも快挙を上げるかもしれませんね。
水尻自子(よりこ)「普通の生活」のあらすじ
水尻自子監督の「普通の生活」のあらすじを紹介します。

水尻自子監督の「普通の生活」は短編のアニメーションです。
映画にはセリフも物語性もありません。
女性の装いの人物が指先で犬の口に触れたり、水があふれた靴に足を入れたりと
人や物が接触する感覚(人の指先や髪の毛、犬の毛並みや口、風に舞うビニール袋など)日常の微細なものの動きを繊細で柔らかく、パステル調の淡い色彩で描きました。
水尻自子(よりこ)「普通の生活」はどこで見れる?(配信情報)
水尻自子監督の「普通の生活」は予告編がYouTubeで配信されています。

予告編は42秒ですが、本編も数分程度の短いものですので、感覚はつかめると思います。
この記事の最後にリンクを貼り付けていますので、興味のある方はご覧ください。
水尻自子(よりこ)「普通の生活」の今後の上映情報
水尻自子監督の「普通の生活」の今後の上映情報ですが2025年2月24日時点では見当たりませんでした。
しかし、前作の短編アニメーションで「不安な体」が渋谷ユーロスペースで『指先から宇宙まで 素晴らしき短編アニメーションの世界』の中の1作品で上映されました。
同じ作風なので、渋谷ユーロスペースで他の短編アニメーションと同時に上映される可能性はありそうです。
また、青森の方だけの情報ですが、「不安な体」が上映された十和田市現代美術館でも「普通の生活」が上映されるかもしれません。
水尻自子監督は青森県十和田市の出身で「不安な体」は十和田市現代美術館の依頼で制作された経緯があります。
また、「普通の生活」は下記の文化庁メディア芸術クリエーター育成支援事業として作成されたものです。
《短編アニメーション『普通の生活 Ordinary Life(仮)』の展示版を作る》
支援事業の概略として次の説明があり、映画のスクリーン以外での展示空間での発表を水尻自子監督が試みていることが分かります。
現在制作を進めている短編アニメーションの展示空間を活用した発表形態を計画する。これまでは映画祭での上映をはじめとして、スクリーンに映像を投射して鑑賞してもらう形のみが作品の見せ方だったが、短編アニメーションを展示する空間の中で鑑賞者と反応し合うようなインタラクティブな仕掛けなど、新たな展開方法を探る。
《短編アニメーション『普通の生活 Ordinary Life(仮)』の展示版を作る》より引用
映画館などのスクリーンでなく、「普通の生活」は街の中に展示空間が設けられる可能性があります。
また、文化庁メディア芸術クリエーター育成支援事業の作品として、「普通の生活」が成果発表イベント「ENCOUNTERS」で上映されました。
(2024年2月17日(土)から2月25日(日)まで表参道ヒルズ本館で多くの作品の1つとして上映)
1年前に終わったとはいえ、文化庁メディア芸術クリエーター育成支援事業の成果発表イベント「ENCOUNTERS」は毎年発表されます。
(2025年の「ENCOUNTERS」は2月24日(月)で終了)
過去の作品も上映することがありますので、銀熊賞を受賞した作品なら来年以降も上映することが考えられます。
水尻自子(よりこ)「普通の生活」についてまとめ
水尻自子監督の「普通の生活」についてまとめます。
・ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞
・普通の生活を催眠術のような芸術作品にしたと評価
・前作「不安な体」はカンヌ国際映画祭で上映
・あらすじは、女性の日常の微細なものの動きを表現
・予告編がYouTubeで配信
・上映情報は見当たらず、ただし次の可能性あり。
1.渋谷ユーロスペース
2.十和田市現代美術館
3.映画館以外の展示空間
4.「ENCOUNTERS」で上映
以上、水尻自子監督の「普通の生活」について紹介してきました。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞するなんて、快挙ですし、同じ日本人として誇らしく感じます。
水尻自子監督のアニメーションはのカンヌ国際映画祭で上映されたので、最後の三大映画祭のヴェネツィア国際映画祭でも何かしてくれそうに思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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